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GOURMET 2021.01.22

KARAE Report Vol.11 唐津ならではの食と文化に癒される、老舗旅館「洋々閣」での大人旅


食と器の古都・唐津で、古き良き日本の旅館文化を訪ねる

 唐津ならではの食と文化を満喫できる老舗旅館『洋々閣』。120年以上の歴史を持ち、5代に渡って、庭園美や部屋食、行き届いた細やかな気配りなど、日本の旅館文化を継承してきた風格あるお宿です。世界の著名人をも魅了する『洋々閣』は、 日本三大松原の一つ・虹ノ松原の西端そばにあり、潮騒の音と松の香に包まれた、静かな寛ぎの時間を過ごせます。今回のリポートでは、『洋々閣』が唐津のまちと共に歩んできた長い歴史を感じながら、唐津の食と器を楽しむ大人旅に出かけます。


 日本三大松原に数えられる虹ノ松原を抜けた先、唐津城へ続く舞鶴橋のほど近くに、120年以上に渡って継承されてきた老舗旅館『洋々閣』があります。明治26年(1893年)に東唐津で創業し、現在は大河内正康(おおこうちまさやす)さんが5代目を務めています。『洋々閣』の創業当時、唐津は石炭産業で栄えており、福岡から伸びる北九州鉄道の終着地点である東唐津は、まさにまちの玄関口となる場所でした。そんな活気ある時代に誕生し、唐津のまちと共に歩んできた旅館では、この土地ならではの”おもてなし”を体験することができます。

 『洋々閣』の建物は、大正元年(1912年)に建造された木造建築です。建造以降、時代と共に利便性を取り入れながら、現在の形に変化しました。老舗旅館としての風格を漂わせながらも、どこかモダンな雰囲気を持つ『洋々閣』のデザインを現在担うのは、デザイナー・永井敬二氏(※1)です。ラウンジには、永井氏こだわりの特注の藤の椅子があり、壁一面の窓から日本庭園を眺めなら静かな時間を過ごせる、寛ぎの空間となっています。

(※1)永井敬二(ながいけいじ)
1948年~/ 5代目大河内正康さんの叔父にあたり、幼少期を『洋々閣』で過ごす。82年にデザインスタジオ『ケイアンドデザインアソシエイツ』設立。モダンデザインのコレクターとして国内外に知られ文化交流に貢献し、デンマーク王国より「Furniture Prize」受賞。モダンデザイン展へ多数出展している。

 お部屋へと続く渡り廊下を囲むのは、樹齢200年の松の木です。約100本ある松の先には、長い年月をかけて自然と共に作り上げられた枯山水の庭園が広がります。 つくばいには花が浮かべられており、池には優雅に泳ぐ鯉の姿が。歩みと共に軋む廊下と、東の浜から聞こえる海のさざなみ、そして庭園の和やかな風景が、非日常へといざなってくれます。

  純和風のお部屋は、『洋々閣』の改修に携わった建築家・柿沼守利氏(※2)が手掛けたもの。『洋々閣』の建物が、長い時間の中で培った風情と陰影を守ることを意識したという柿沼氏デザインのお部屋は、光と風を程よく取り入れ、自然と調和した造りになっています。

(※2)柿沼守利(かきぬましゅり)
1943年~/ 日本建築家。 建築家・白井晟一に師事。白井自邸・虚白庵、横手・昨雪軒、北海道・尻別山寮、親和銀行・懐霄館、松濤美術館、嵯峨・雲伴居などを担当し、83年に独立。作品に、 チャイナ・オンザ・パーク・忠次館、浄土真宗本願寺派・光圓寺、ユタ州・レイトンの家、亀の井別荘改修などがある。

日本の美を感じられるお部屋をそっと彩るのは、女将が手ずから活けた季節のお花です。端々にいきわたる細やかな気遣いは、旅の疲れを癒してくれることでしょう。

 お部屋でまったりと過ごした後は、『洋々閣』自慢の唐津焼ギャラリーへ。唐津焼は「一楽二萩三唐津」と謳われる、茶道の世界では言わずと知れた焼き物で、唐津を代表する文化でもあります。

 館内に2か所併設されたギャラリーに並ぶのは、唐津焼を先駆けて世界へ発信した窯元『隆太窯』の器です。大河内さんの父である4代目と『隆太窯』窯主の中里隆さん(※2)との間に深い交流があったことが、ギャラリー設立のきっかけなのだとか。現在では中里隆さんに加え、太亀さん、花子さん、健太さん3代の器が一堂に集まった、隆太窯の作陶家の作品を満喫できるギャラリーとなっています。
 宿泊客でなくともギャラリーの訪問は可能なので、唐津の焼き物巡りスポットとしてもおすすめです。

(※)中里隆(なかざとたかし)さん
1937年~/唐津焼の名門・人間国宝にもなった十二代中里太郎右衛門(無庵)の五男として唐津に生まれ、先駆けて唐津焼を世界に発信した。唐津市内に窯元『隆太窯(りゅうたがま)』を構える。

 海山に恵まれた唐津は、食材の宝庫とも言える食文化が豊かなまち。地元の旬な食材の持ち味を活かした日本料理を堪能できます。唐津焼をはじめとする器と食のマリアージュを楽しみながら、シンプルかつ繊細な日本料理に舌鼓を打つ至福の時…。五感で楽しむ贅沢な夕食です。

「城下町である唐津は歴史あるまちで、良いものがたくさん残っています。これらを近代化と共に崩すのではなく、守り引き継いでいくことに価値があるのだと思います。『洋々閣』も、この唐津のまちの歴史の一つの形として残していきたいです」と語るのは、代々引き継がれてきた旅館の暖簾を守りながらも、多言語対応やバリアフリー化など、時代に応じた新しい風を取り入れてきた5代目・大河内さんです。

 明治・大正の面影を残した格調高い『洋々閣』で、唐津の文化を象徴する焼き物と、この土地で育まれた豊かな食の幸を満喫する大人旅。唐津の持つ奥深い魅力をぎゅっと凝縮した老舗旅館でのひとときは、特別な思い出になることでしょう。日本の美とおもてなしに癒される、贅沢な巣籠り旅はいかが?


洋々閣-Youyoukaku-

住所
〒847-0017  佐賀県唐津市東唐津2-4-40
TEL
0955-72-7181
HP
http://www.yoyokaku.com
営業時間
チェックイン 15:00~19:30/チェックアウト ~10:00
休業日
不定休


ふるさと納税で唐津を楽しむ

洋々閣 をお得に満喫したい! 唐津に遊びに行きたい!唐津の食を満喫したい!そんな皆さんの思いが「ふるさと納税」で実現できます。KARAEの1階の唐津で22年ぶりに復活した映画館THEATER ENYA(シアター・エンヤ)を運営する一般社団法人Karatsu Film Prifect活動を支援する「佐賀県NPOふるさと支援」では、洋々閣に宿泊したり、唐津のミシュランをとった飲食店で食事を楽しんだり、唐津焼を購入したりできます。これから宿泊できる宿やご予約できる飲食店がますます増えるとのこと。楽しみですね。